日本学生平和学プラットフォームの勉強会では「平和の達成」と「戦争の回避・解決」という目的を達成する上で必要な学問や情報をすべて扱います。
平和の定義は様々です。しかし、これまで平和学研究により、広く認知されている定義はあります。
平和とは、直接的暴力と構造的暴力のない世界です。
平和の達成に必要な事
それは直接的暴力と構造的暴力の排除です。
直接的暴力とは、いわゆる戦争や圧政、強盗やレイプなどを指します。一方、構造的暴力には、貧困や性差別、人種差別、保健福祉システムの欠落、教育システムの欠落、環境破壊など様々な問題が含まれます。
戦争の排除=平和ではないのです。たとえ、戦争がなくても、社会的な搾取や貧困などが解決されなければ、それは平和とは程遠い世界です。
戦争や紛争をいかに回避するか、解決するかという問題に焦点を当てた学問が紛争解決学です。
貧困へのアプローチ等を模索している学問と言えば、開発学です。
心の傷などの問題になれば、心理学や医学の知識も必要です。
他にもジェンダーや環境など様々な領域の研究が構造的暴力の解消には必要です。
加えて、国内外の諸問題の把握のために、国際情勢や国際問題、社会問題、政治、経済などの知識も必要になってきます。
平和の達成という大きな目的のためには、このように多岐に渡る学問・知識が必要とされているのです。これらを平和学と総称しています。
戦争の原因や平和の条件について考察する学問領域全般を差します。また、いかにして平和を達成するか、いかにして戦争を回避するか、といった命題に挑戦する学問でもあります。
その名の通り、紛争の解決を目的とした学問です。平和学と重複した学問領域ですが、よりストレートに戦争や紛争の解決を目的としています。
第一次世界大戦や第二次世界大戦の教訓から、冷戦期に広まりました。当初は、国家間の戦争の防止が目的でしたが、時代が経つにつれ内戦や貧困、圧政などに焦点を移してゆきました。
注意したいのは、紛争解決学はただ単に武力紛争それ自体の停止が目的ではないという事です。
それでは紛争の原因(迫害や貧困など)が、そのまま放置されかねません。
紛争解決学とは、今起こっている、または起こるかもしれない武力紛争を、より平和的で非暴力な社会変化・政体変化のプロセスへと移行させるのを目的とした学問なのです。
ヨハン・ガルトゥング風に言うならば、この分野の学者はいわば「社会の医者」なのです。うさんくさい魔術師なのではなく、きちんとした統計的研究など科学的知見に基づいて、社会に症状として現れた諸問題(紛争)を解決するのが役目です。
症状として現れた武力紛争を解決するためには、その根本的原因に対処する必要があります。そうでなければ、その症状は何度も再発するからです。
紛争の原因は様々です。それは中央政府による圧政だったり、腐敗だったり、武器の蔓延だったり、環境破壊だったり、金銭的欲求だったりします。内部要因だけではなく外部要因なども大きく影響しています。
原因は一つではないのです。諸問題が複雑に入り組んでいるのです。これらの複雑な根本的原因を突き止め(紛争分析)、適切な療法を提案するのが紛争研究学者です。