第9回交流会

2016年7月3日(日)

場所:早稲田大学

共催:日本クルド文化協会

JSAPCS主催 第9回交流会「在日クルドの方々を交えて~難民問題について語らう~」を開催いたしました。

 

 日本クルド文化会のご協力の下で開催した当交流会では、日本クルド文化協会で活動をされている方々をお招きし、日本市民と在日クルド人難民が互いを理解し共生していくためのきっかけをもたらすことを目的としたイベントでした。

 

 第一部では4名の登壇者にご講演いただきました。はじめに日本クルド文化協会のジャーナリストエユブさんが「難民はなぜ難民になるのか?」という、難民問題の原因についてお話くださいました。国際政治による戦争、自然災害、経済的事情といった様々な理由により、国からの避難を余儀なくされる多くの難民たちの現状を詳しく説明していただきました。難民の写真や統計などを交えながら、難民問題の悲惨な状況を語るエユブさんから、難民問題の深刻さを改めて知ることができました。

 心機一転としてクルドの伝統的な明るい音楽を挟んだ後、日本クルド文化協会の事務局長ワッカスさんにクルド人の歴史について教えていただきました。「山で生活している力持ち」という意味のあるクルドの人々は、イラン・イラク・シリア・トルコの4国を跨いで昔のメソポタミア文明が栄えたユーフラテス・チグリス川に近い地域で生活しています。歴史上のさまざまな出来事によって人工的な国境が引かれ、現在のような「国家のない」人民として生きているという流れを詳細に語っていただきました。

 次に「クルディスタン レットモオン」とうい難民支援団体の設立に携わっているメメットさんから、日本に在住する1500~2000人の在日クルド人の生活についてご紹介いただきました。埼玉県の蕨市・川口市に多く集まっている在日クルド人は自分たちのコミュニティを築き、互いに支援しながら生活をしています。しかし、難民であるために経済的に苦しい生活をしている者が少なくなく、建設業やレストラン業で働いている方が多いというお話をしていただきました。しかし、そういった中でも在日クルド人は積極的に社会奉仕活動に参加し、警察と協力して清掃活動やパトロールをしたり、クルド人の歌手によるコンサートもしたことがあるとのことでした。

 四番目の登壇者として、日本クルド文化協会女性活動の共同代表・グルジャンさんが他に取り組んでいる活動についてお話ししてくださいました。クルド料理教室を日本人に向けに開催し、クルドの文化を紹介する活動をしているほか、在日クルド人向けにゴミの分別教室や浴衣の着付け講座も行っているとのことでした。また、日本人ボランティアの協力のもと、在日クルド人向けの日本語勉強会も行っているとのことで、クルド人コミュニティと日本人の協力が生むコラボレーションを垣間見ることができました。

 最後に、交流会の来場者を交えての質疑応答をしました。日本に住んでいて感じたことや、なぜそもそも日本を選んだのか?という質問に対して、登壇者の方々にご回答いただきました。質疑応答を終え、懇親会へと移りました。

 

 第二部の懇親会は近くのレストランにて開催しました。食事をしながらより親密にクルド人の方々と会話をすることができ、お互いのことをより良く知ることができました。クルドの文化やご家族のことなど、様々なことをお話してくださいました。その中でも、日本人の「本音」と「建て前」の文化で苦労した話を、ユーモアたっぷりに教えてくださいました。お話の中で特に印象的だったのは、「日本にいながらも自分はクルド人だ」と感じることについてです。彼はクルドについて知ってもらいたいと様々な活動をされています。彼は、自分が思った通りに行動する実行力こそがクルド人らしいと語っていました。私たちはそれを通じ、日本人のアイデンティティについて改めて考え、彼と共有しました。そのような会話を通じ、お互いについてよりよく理解できたのではないかと思います。

 

 

ご参加いただきました皆様に感謝申し上げます。